祖父母の家は隣駅にあり、車で 20~30 分ぐらいの距離にありました。
当時、祖父は風邪から肺炎をこじらせて入院していました。
退院後の在宅時に負担のないようにとケアワーカーさんと相談して自宅の居間に介護用ベッドを入れることになりました。
祖母は軽度の認知症の症状があり、最近の記憶は覚えていられないけど、昔のことはよく覚えている。
そんな状態で、最近の出来事として祖父が体調を崩していることや、入院していたことなどはすぐに忘れてしまって、介護用ベッドについてもなぜ家にこんなものがあるのかと理解しがたいようでした。
それでも、普段の生活は炊事や洗濯などの家事も外出も問題なく、2 人で暮らしていました。
そんなある日の夕方、ちょうど夕飯時に祖母から電話がかかってきて「おじいちゃんがベッドに仰向けになったまま動かないんだけど」、「息をしてないみたい」と母に告げてきました。
母は大慌てで父に連絡してから、姉と一緒に祖父母の家へ向かいました。
到着するとすでに息はなく、「いつからこの状態だったの?」と聞いても、「15 時ぐらいかしら?」「トイレに行って戻ってきたらベッドに横になっていた」と言っているだけで事の重大さが分かっていない状態でした。
母はすぐに 119 番をして、救急車が到着するまで人工呼吸と、心臓マッサージをしていたそうです。
救急隊員も到着後すぐに蘇生措置を始め、救急車で病院へ搬送されることになりました。
それでも事態がどうなっているのかの認識ができているのか、いないのか祖母は「私は行かない」と言って動かなかったそうです。
母は、姉と一緒に救急車に乗って病院まで行きました。
到着して蘇生措置は行ったものの、医師による死亡診断が下されました。
その翌日、警察が来て在宅時の突然死で事件性なども含めた現場検証が行われました。
突然のことで落ち着かない中、話の伝わらない認知症の祖母のことも含め、母は警察に疑いを持って尋問されたそうです。
現場検証、そして経緯の説明で事件性はなしと、判断されましたが、心地の良いものではなかったと後から言っていました。
後から調べると在宅でも訪問診療を受けて医師が入っていればこのようなことはないと聞き、在宅での看取りを行うには色々と考えていかなければならないと祖父の死から感じました。